相続税と相続・贈与に関する最新情報をお届けします。
2020年2月から「生前 遺産分割合意書」の作成サービスを始めました。
クライアントへの説明用に「生前 遺産分割合意書」とはどういうものか、まとめました。
【「生前 遺産分割合意書」とは...】
生前に、親から将来の相続財産を公開し、さらに財産の分割方法を提案し、家族全員で話し合い、 納得・合意した内容を「生前 遺産分割合意書」として全員で署名・押印します。
【目的】
・終活の一環として、将来の円満相続に備えることができます。
・生前に親の想い、相続財産の内訳、財産の分割方法、生前贈与の計画などを伝え家族の不安を排除して、将来の相続についてイメージができるため安心します。
・家族側も生前に財産と分割方法などを把握して、話し合いの機会ができます。
・お互いになかなか言えないこと、聞けないことを生前に確認できます。
【作業手順】
① 将来の相続財産の把握・評価、法定相続人の確認、相続税などの計算
② 相続財産、生前贈与などの分割・配分についての考えをまとめます。(親)
③ 家族全員で第1回の打ち合わせを開催し、親から想い、財産、分割方法などを開示・説明します。
④ 家族から意見を聞き、内容を協議・調整・合意します。
⑤ 合意内容に基づき書類を作成し、最終の打ち合わせで合意、署名、押印します。
【効果・注意点】
・将来のご相続の「見える化」により、生前に家族全員が不安を解消して安心します。
・法的拘束力はありませんが、将来の争族回避の効果は認められます。
・遺言書や相続後の遺産分割協議では、不満・争族の可能性があります。
・将来の相続財産、法定相続人の状況・環境なども変わる可能性があり、合意内容が将来の遺産分割協議書となる保証はありません。
ご家族全員に趣旨と注意点をよく説明し、全員が納得された場合に作成します。
また「生前 遺産分割合意書」の作成に必要な報酬については事前にお見積もりします。
親からも、子供からも、ご相続のことはなかなか言えません。このサービスを機会にいろいろとご家族で話し合うことができます。ぜひ、ご検討ください。
ご興味のある方はぜひ、ご連絡ください。
2020年2月から「生前 遺産分割合意書」の作成サービスを始めました。
もしかすると日本では、ほとんどないサービスで、初めてかもしれません。(終活の一環ですでにあればすみません。)
相続税対策や相続税を中心に相続関連業務を始めて18年。公正遺言書に従った遺産相続や相続後の遺産分割協議の手続きで、 多くの方の相続税申告業務を経験しました。中には、遺言書の内容でもめる場合、協議書が作成できない場合、 調停・紛争などの争族となるケースもありました。 その経験から生前に親と子供が一緒に合意できる書類は作成できないか、とずっと考えておりました。 また、それができれば相続でもめることは、かなり少なくなるのではないかと思っておりました。
法律家からすれば、生前の遺産分割合意書は、法的に無効であり、法的拘束力を持たないため誰も積極的にはなりません。合意書があっても、 実際に相続が起こった場合に相続人がそれに従う保証はありませんし、その時の相続財産、経済状況、生活環境も変わっている可能性があり、 生前に合意書があっても仕方がないからです。
1月下旬からクライアントの確定申告の準備作業が始まりました。不動産を所有する資産家のお客さまとお会いする機会が多くなり、 話の流れで将来のご相続のことをよくお聞きします。 お客様のご要望をお聞きしていると、ますます、この「生前 遺産分割合意書」がよいのではないかと思いました。 複数のお客様に聞いてみると、「それはよいかも!」、「ぜひ、お願いしたい!」という声をお聞きしました。 あくまでも親側の希望で子供側の意見までは聞いておりませんが。
そんなわけで「生前 遺産分割合意書」を始めます。
ご興味のある方はぜひ、ご連絡ください。
国土交通省が3月18日に、平成26年1月1日時点の公示地価を公表しました。 全国平均で住宅地は前年比0.6%の下落(前年は1.6%の下落)、商業地は前年比0.5%の下落(前年は2.1%の下落)となり、 6年連続の下落となりましたが、アベノミクス効果と景気回復期待、景気刺激対策の効果もあり、 下落率が縮小し、商業地を中心に地価の上昇基調の兆しが出ています。
また、三大都市圏では、6年ぶりに住宅地・商業地ともに上昇となり、都心部中心に土地デフレから脱却し、 地価の底上げ感が高まっています。三大都市圏以外の地方圏の下落率(マイナス幅)もすべて前年よりも改善しており、 東日本大震災から3年近くが経過し、昨年に引き続き、アベノミクス効果への期待感から全国的に下げ止まり感が出ています。
大阪圏の住宅地では、下落率が前年0.9%から0.1%へ、商業地でも下落率 前年0.5%から上昇率1.4%へと大きく改善。
東京圏の住宅地では、下落率が前年0.7%から上昇率0.7%へ、商業地でも下落率は前年0.5%から上昇率1.7%へと改善。
名古屋圏では、住宅地の下落率が前年0.0%から上昇率1.1%へ、商業地は下落率が前年0.3%から上昇率1.2%へと改善。
消費税の増税前の駆け込み需要、不動産投資信託(REIT)を中心とした投資マネーの流入、
都心部での再開発需要などの影響もあり、全国的に地価の値上がりへの動きが明確となってきました。
大阪圏では、グランフロント大阪の開業やあべのハルカス完成など、都心部での商業施設、
高層マンションなどの開発が多く、大阪市内の都心部での地価の上昇が多かったようです。
毎年、この年末時期に前年度の「相続税の申告事績」が公表されます。
平成24年中(平成24年1月1日~平成24年12月31日)に亡くなった人から、 相続や遺贈などにより財産を取得した人に係る申告事績の概要です。
1 被相続人数
被相続人数(死亡者数)は約126万人(前年約125万人)、
このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約5万2千人(前年約5万2千人弱)で、
課税割合は4.2%(前年4.1%)となっており、前年より0.1ポイント増加しました。
「被相続人数(死亡者数)」は、厚生労働省統計情報部「人口動態統計」による。
2 課税価格
課税価格は10兆7,706億円(前年10兆7397億円)で、 被相続人1人当たりでは2億557万円(前年2億830万円)となっています。
「課税価格」は、相続財産価額から、被相続人の債務・葬式費用を控除し、
相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額及び相続時精算課税適用財産価額を加えたものです。
3 税額
税額は1兆2,514億円(前年1兆2,520億円)で、 被相続人1人当たりでは2,388万円(前年2,4285円)となっています。
4 相続財産の金額の構成比
相続財産の金額の構成比は、土地45.9%(前年45.9%)、
現金・預貯金等25.4%(前年24.4%)、有価証券12.3%(前年13.0%)の順となっています。
申告状況に大きな変化はありませんでしたが、大きな特徴と傾向としては、やはり死亡者数の増加でしょう。 高齢化社会を端的にあらわしています。それによもない、当然に相続税額の合計も増えています。 今後、ますます増加することは間違いないと思います。 さらに相続税の基礎控除縮小と税率アップにより、 納税者の拡大と納税額のアップと見込まれます。
毎年、この時期(11月下旬)に「相続税の調査状況」が公表されます。
調査対象は、「平成22年中及び平成23年中に発生した相続を中心に、
国税局及び税務署で収集した資料情報を基に、申告額が過少であると想定されるものや、
申告義務があるにも関わらず無申告となっていることが想定されるものなど」に対してであり、
平成24事務年度(平成24年7月から平成25年6月までの間)に実施した実地調査の状況が発表されました。
つまり、亡くなってから10か月以内に相続税の申告をしますが、
税務調査はその1年~2年後に行われるケースが多いということです。
申告漏れが指摘されるケースは、毎年高く、約81%です。 申告漏れの相続財産は、現金・預金が圧倒的に多く約37%、 次に有価証券で約13%。 現金預金と有価証券を合わせて、申告漏れ財産の50%を占めています。 つまり、本人名義の預金だけでなく、他人名義預金も含めて申告漏れを指摘されるケースが多い、 ということで、亡くなってから調査実施までの期間 (2年から3年)に税務当局は完全に情報を把握していることを示しています。
また、特徴的な傾向として2つ分かります。 1つは、海外資産に対する調査実績が増加しており、
申告漏れが多く把握されていること、 もう一つは、相続税の無申告のケースで申告漏れが多く把握されていることです。
2つとも、ここ数年で大幅に調査実績と申告漏れ財産が増加しています。
これは、国税庁・国税局からの明確なメッセージで、
今後とも国外財産・国外取引と無申告納税者は重要な調査対象となることは間違いなく、
安易な対応はできないことを物語っています。
今回の公表サイトに記載されている文言を参考までに。
① 「納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、 相続税調査の実施に当たっては、租税条約等に基づく情報交換制度を効果的に活用するなど、 海外資産の把握に努めています。資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、 海外資産関連事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施します。」
② 「無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・ 納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく 損なうものであり、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、 的確な課税処理に努めています。無申告事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施します。」
③ 「国税庁では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、 積極的に資料情報を収集するとともに、 相続税調査等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、 本事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。」
④ 「国税庁では、あらゆる機会を通じて把握した生前の資産保有・移動状況に関する情報を蓄積・ 活用するなどして、 贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めています。」
相続税に関する国税当局の調査能力・情報収集能力は、驚くほど素晴らしく優秀です。 合法的な対応と適切な相続税の申告が一番です。
私が個人的に重要と思われるポイントをまとめました。
① 年間5万件の相続税の申告があるので、約30%の割合で税務調査が行われる。
② 税務調査が行われた場合は、約80%以上の割合で申告漏れが指摘されている。
③ 申告漏れで最も多いものは、現金・預金であり、金融資産である。
④ 申告漏れの金融資産は、名義預金(親族などの他人名義)がほとんどと思われ、
実務でもその帰属は判断が難しく、税務調査で問題となる場合が多い。
⑤ 海外資産・海外取引の調査件数が増加しており、税務署も国際取引に注意している。
⑥ 相続税の無申告に対する調査件数が増加しており、税務署は、生前から情報収集を行い、
財産状況がしっかり把握されている。今後は、基礎控除の減額などにより、
相続税の申告件数が一気に増加することが予想されるため、無申告には要注意である。
⑦ 税務調査の前に、すでに申告漏れが把握されています。生前の収入状況・所得税の申告状況、以前のご相続の状況、
不動産の状況などと相続税の申告内容がバランスすることが重要です。
⑧ 1件当たりの申告漏れの金額から、税務署ですでに把握されている申告漏れの納税者はもちろん、
相続税の高額の納税者も、調査の対象となっています。
簡単にまとめれば、家族名義の預金や金融資産の扱いに注意すること、 海外資産・海外取引についても申告漏れがないか注意すること、基礎控除を超えて相続税の申告が必要かどうか、 注意すること、ということでしょう。
国税庁が平成25年度の路線価を公表しました。全国平均で1.8%の下落(前年は2.8%の下落)。 リーマンショック以降、5年連続の下落となりました。 しかし、下げ幅は3年連続で減少しており、下げ止まり感が出ていること、上昇地点も増加していることが分かりました。 アベノミクスによる円安・株高の経済効果もこれから徐々に路線価へも反映する可能性があります。 なお、相続税評価額(路線価)とは、財務省国税庁が、徴税のための評価を目的として、 毎年1月1日時点の評価額を7月に公表するものです。路線価の特徴は、公示地価のような基準地点ではなく、 ほぼ大半の道路にその評価額(路線価)を算定しており、分かりやすく、地区区分もあり、 実務的に幅広く利用されています。この相続税評価額(路線価)は、 その目的・趣旨から時価を超えることはなく、公示地価の80%を目途として算定されています。 なお、最近の不動産取引においては、この路線価をベースに取引価額が決定されていることもあります。
ちなみに、公示地価とは、地価公示法に基づき、国土交通省が毎年1月1日時点の地価として3月下旬に公表するもの。 全国に31,000地点の標準地点を設定し、委託された約2500名の不動産鑑定士がその標準地点を鑑定評価し、 さらに土地鑑定委員会が価格の判定を行った結果として公表されます。 公示地価は、一般的な取引の指標となることを目的としており、公共事業の用地取得の際の算定基準とされております。 また、土地の相続税評価額や固定資産税評価額もこの公示地価を基準としております。
国土交通省が3月21日に、平成25年1月1日時点の公示地価を公表しました。 全国平均で住宅地は前年比1.6%の下落(前年は2.3%の下落)、商業地は前年比2.1%の下落(前年は3.1%の下落)となり、 5年連続の下落となりましたが、デフレ脱却の期待感から下落率が縮小し、 不動産への資金流入の傾向もあり底入れの兆しが出ています。
また、三大都市圏、地方圏の下落率(マイナス幅)はすべて前年よりも改善しており、 東日本大震災から2年近くが経過し、アベノミクス効果への期待感から全国的に下げ止まり感が出ています。 昨年同様、地方圏よりも三大都市圏の下落率が改善されています。 三大都市圏の中では、大阪圏の下落率が一番悪い時期が続きましたが、今回は下落幅が改善され、 東京圏・名古屋圏と大きく変わりませんでした。
大阪圏の住宅地では、下落率が前年1.3%から0.9%へ、商業地でも下落率は前年1.7%から0.5%へと改善。
東京圏の住宅地では、下落率が前年1.6%から0.7%へ、商業地でも下落率は前年1.9%から0.5%へと改善。
名古屋圏では、住宅地の下落率が前年0.4%から0.0%へ、商業地は下落率が前年0.8%から0.3%へと改善。
地価の底入れから値上がりへ動いているようです。
大阪圏では、地下の上昇地点が249地点(前年は137地点)となり、 大型商業施設が開発されれている地域や 大型マンション開発地域を中心に大阪市内の都心部での地価の上昇が多かったようです。
毎年、年末に与党から税制改正大綱が公表されますが、 12月選挙後の政権交代があったため、 今回は1月24日に自民党と公明党から「平成25年度税制改正大綱」が公表されました。 3月までの国会審議を経て法制化される見込みですが、 世論や東日本大震災のように何が起こるか分かりませんから、 最終的には一部修正の可能性もあり得ます。
政権交代後の初の税制改正ですから、注目しておりましたが、 やはり基本は「アベノミクス」の方針に沿った内容で、 「成長と富の創出の好循環」を題目として掲げており、 「強い経済」を取り戻すことに主眼を置いています。
相続税・贈与税の見直しについては、下記のように基本的な考え方として以下の4項目が記載されました。
①相続税については、地価が大幅に下落する中においても、 バブル期の地価上昇に対応した基礎控除や税率構造の水準が据え置かれてきた結果、 課税割合が低下する等、富の再分配機能が低下している。 こうした状況を受けて、課税ベースの拡大と税率構造の見直しを行う。
②具体的には、平成27 年より、相続税の基礎控除について、 現行の「5,000万円+1,000 万円×法定相続人数」を 「3,000 万円+600 万円×法定相続人数」に引き下げるとともに、 最高税率を55%に引き上げる等、税率構造の見直しを行う。
③その際、個人の土地所有者の居住や事業の継続に配慮する観点から、 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、 居住用宅地の限度面積を拡大するとともに、 居住用宅地と事業用宅地の完全併用を可能とする等の拡充を行う。
④また、贈与税の最高税率を相続税に合わせる一方で、 高齢者の保有する資産を現役世代により早期に移転させ、 その有効活用を通じて「成長と富の創出の好循環」につなげるため、 子や孫等が受贈者となる場合の贈与税の税率構造を緩和する等の見直しを行うとともに、 相続時精算課税制度について、贈与者の年齢要件を65 歳以上から60 歳以上に引き下げ、 受贈者に孫を加える拡充を行う。
そのほかに、事業承継税制の要件緩和・拡充により、 非上場株式に係る相続税・贈与税の納税猶予制度がかなり適用しやすくなりました。 (上記は平成27年1月からの適用見込。)主な内容は下記のの通り。
① 経営承継相続人等の要件のうち、被相続人の親族であることとする要件を撤廃する。
② 贈与税の納税猶予における贈与者の要件のうち、贈与時において認定会社の役員でないこととする要件について、 贈与時において当該会社の代表権を有していないことに改める。
③ 役員である贈与者が、認定会社から給与の支給等を受けた場合であっても、 贈与税の納税猶予の取消事由に該当しないこととする。
④ 納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、 経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)における常時使用従業員数の平均が、 相続開始時又は贈与時における常時使用従業員数の80%を下回ることとなった場合に緩和する。
⑤ 納税猶予税額の計算において、被相続人の債務及び葬式費用を相続税の課税価格から控除する場合には、 非上場株式等以外の財産の価額から控除することとする。
⑥ 雇用確保要件が満たされないために経済産業大臣の認定が取り消された場合において、 納税猶予税額を納付しなければならないときは、延納又は物納の適用を選択することができることとする。
また、教育資金の一括贈与制度が新設され、 直系尊属からの信託拠出により一人当たり1500万円までの教育目的資金が非課税とされました。 (平成25年4月から平成27年末までの拠出に適用)
毎年、この時期に「相続税の申告事績」が公表されます。
平成23年中(平成23年1月1日~平成23年12月31日)に亡くなった人から、 相続や遺贈などにより財産を取得した人に係る申告事績の概要です。
1 被相続人数
被相続人数(死亡者数)は約125万人(前年約120万人)、
このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約5万1千人(前年約5万人)で、
課税割合は4.1%(前年4.2%)となっており、前年より0.1ポイント低下しました。
「被相続人数(死亡者数)」は、厚生労働省統計情報部「人口動態統計」による。
2 課税価格
課税価格は10兆7,299億円(前年10兆4,580億円)で、
被相続人1人当たりでは2億872万円(前年2億962万円)となっています。
「課税価格」は、相続財産価額から、被相続人の債務・葬式費用を控除し、
相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額及び相続時精算課税適用財産価額を加えたものです。
3 税額
税額は1兆2,520億円(前年1兆1,754億円)で、
被相続人1人当たりでは2,435万円(前年2,356万円)となっています。
4 相続財産の金額の構成比
相続財産の金額の構成比は、土地46.0%(前年48.3%)、現金・預貯金等24.2%(前年23.3%)、
有価証券13.0%(前年12.1%)の順となっています。
大きな特徴と傾向としては、やはり死亡者数の増加でしょう。 高齢化社会を端的にあらわしています。それによもない、当然に相続税額の合計も増えています。 今後、ますます増加することは間違いないと思います。さらに相続税の基礎控除縮小と税率アップにより、 納税者の拡大と納税額のアップと見込まれます。
毎年、この時期に「相続税の調査状況」が公表されます。
調査対象は、「平成21年中及び平成22年中に発生した相続を中心に、
国税局及び税務署で収集した資料情報を基に、申告額が過少であると想定されるものや、
申告義務があるにも関わらず無申告となっていることが想定されるものなど」に対してであり、
平成23事務年度(平成23年7月から平成24年6月までの間)に実施した実地調査の状況が発表されました。
つまり、亡くなってから10か月以内に相続税の申告をしますが、
税務調査はその1年~2年後に行われるケースが多いということです。
申告漏れが指摘されるケースは、毎年高く、約80%(関西は83%)です。
申告漏れの相続財産は、現金・預金が圧倒的に多く約40%、次に有価証券で約18%。
現金預金と有価証券を合わせて、申告漏れ財産の60%を占めています。
つまり、本人名義の預金だけでなく、他人名義預金も含めて申告漏れを指摘されるケースが多い、
ということで、亡くなってから調査実施までの期間(2年から3年)に
税務当局は完全に情報を把握していることを示しています。
また、特徴的な傾向として2つ分かります。
1つは、海外資産に対する調査実績が増加しており、申告漏れが多く把握されていること、
もう一つは、相続税の無申告のケースで申告漏れが多く把握されていることです。2つとも、
ここ数年で大幅に調査実績と申告漏れ財産が増加しています。
これは、国税庁・国税局からの明確なメッセージで、
今後とも国外財産・国外取引と無申告納税者は重要な調査対象となることは間違いなく、
安易な対応はできないことを物語っています。
今回の公表サイトに記載されている文言を参考までに。
① 「納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、 相続税調査の実施に当たっては、租税条約等に基づく情報交換制度を効果的に活用するなど、 海外資産の把握に努めています。資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、 海外資産関連事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施します。」
② 「無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・ 納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであり、 資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、 的確な課税処理に努めています。 無申告事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施します。」
③ 「国税庁では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、 積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、 無申告事案を中心に、本事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。」
④ 「国税庁では、あらゆる機会を通じて把握した生前の資産保有・ 移動状況に関する情報を蓄積・活用するなどして、 贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めています。」
相続税に関する国税当局の調査能力・情報収集能力は、 驚くほど素晴らしく優秀です。合法的な対応と適切な相続税の申告が一番です。
国土交通省が3月22日に、平成24年1月1日時点の公示地価を公表しました。 全国平均で住宅地は前年比2.3%の下落(前年は2.7%の下落)、商業地は前年比3.1%の下落(前縁は3.8%の下落)となり、 4年連続の下落となりました。平成20年秋のリーマン・ショック以降、地価がまだ低迷している状況です。
しかし、三大都市圏、地方圏の下落率(マイナス幅)はすべて前年よりも改善しており、 東日本大震災の直後の不動産取引を控える動きが収まり、全国的に下げ止まり感が出ています。 昨年同様、地方圏よりも三大都市圏の下落率が改善されています。 三大都市圏の中では、大阪圏の下落率がまだ大きいのですが、前年比でみると一番改善されているようです。
大阪圏の住宅地では、下落率が前年2.4%から1.3%へ、商業地でも下落率は前年3.6%から1.7%へと改善。 東京圏の住宅地では、下落率が前年1.7%から1.6%へ、商業地でも下落率は前年2.5%から1.9%へと改善。 名古屋圏では、住宅地の下落率が前年0.6%から0.4%へ、商業地は下落率が前年1.2%から0.8%へと改善。 大阪圏は1年遅れで地価の下げ幅が縮小しているようです。
大阪圏では、地下の上昇地点が137地点(前年は2地点だけ)となり、 大型商業施設が開発されれている地域や 大型マンション開発地域を中心に大阪市内の一部で地価の上昇が多かったようです。
政府は、12月10日に平成24年度税制改正大綱を閣議決定し、公表しました。 東日本大震災の影響から積み残しとなっていた平成23年度の税制改正については、 一部今回の改正に盛り込まれましたが、相続税の基礎控除縮小など相続税の増税は、 「社会保障と税の一体改革」の中で検討されることとなり、 平成25年度以降に先送りとなりました。 つまり、平成23年度の税制改正の中で資産課税の目玉であり、 先送りとなっていた①相続税の基礎控除縮小(5000万円+法定相続人数×1000万円を3000万円+法定相続人×600万円へ)と ②相続税の最高税率の引き上げ(50%を55%へ)は、 さらに先送りされ、消費税の増税と同じく平成27年度以降の改正に予定されます。
今回の平成24年度の税制改正大綱の中で、資産課税において注目すべき点は、
といった点が挙げられます。④の国外財産調書制度は、
グローバル化に対応した国外財産の把握をしっかり行うという趣旨ですから、実務では特に要注意です。
「平成24年度税制改正大綱」は、財務省HPよりどうぞ
国税庁が平成23年度の路線価を公表しました。 全国平均で3.1%の下落(前年は4.4%の下落)。リーマンショック以降、3年連続の下落となりました。 都市圏で見ると、東京都は2.0%の下落(前年7.0%の下落)、大阪府は3.4%の下落(前年6.1%の下落)、 愛知県は0.8%の下落(前年は3.3%の下落)。大阪府は前年に引き続き、全国平均よりも下落。 下落幅が縮小したと言っても、なお下落中。資産デフレに歯止めがかかるのは、いつでしょうか。 なお、今回の評価基準日は1月1日のため、3月11日の東日本大震災の影響は反映していません。 このため、震災前(平成23年3月10日以前)に取得した被災地域の土地等の評価方法 として、 調整率を乗じて計算する方法が新たに制定されました。以下、参照。
路線価地域の場合
特定土地等が路線価地域にある場合の「震災後を基準とした価額」については、
平成23年分の路線価(評価時点:1月1日)に調整率を乗じて計算することができます。
【計算例】
路線価・・・・・・100,000円
調整率・・・・・・ 0.80※
100,000円 (路線価)× 0.80※(調整率) = 80,000円
※ 計算例のための仮の数値です。
なお、平成23年分の路線価及び評価倍率(評価時点:1月1日)に乗じる調整率については、 10月ないし11月に、別途、国税庁ホームページで公開する予定にしています。
国税庁の路線価のホームページ にてご確認ください。
(注)調整率が設定される 「指定地域」とは、 青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県の全域、並びに、新潟県十日町市、 新潟県中魚沼郡津南町及び長野県下水内郡栄村をいいます。
懸案の平成23年度税制改正法案ですが、一部新聞報道でもあったように東日本大震災の影響とその対応もあり、 ほとんどが先送りされました。法人税率の引き下げ、相続税の基礎控除引下げ、 税率見直し、所得税の給与所得控除の上限設定、 役員退職金の課税見直しなどの目玉税制は先送り審議事項となりました。
国会で可決され、平成23年6月30日から 公布・施行されるものは、法人税の雇用促進税制の創設、 個人に係る所得税関係では上場株式等の軽減税率適用の延長、大口株主要件の見直し、 店頭FX取引の雑所得の特例の適用範囲の拡大、などがあります。
財務省のホームページ にてご確認ください。
この震災特例法や既存の税制において東日本大震災により被災された方に適用される各種の税制上
の措置に関する情報が掲載されております。
特に、法人税関係では、大震災から1年以内に修繕を行う見込みであれば、修繕見込み額を特別勘定
で損金処理することが可能となっております。
国税庁のホームページ にてご確認ください。
大震災の影響が大きく、平成23年度の税制改正法案も棚上げされております。 4月1日以降の混乱を回避するため、つなぎ法案で6月30日までは、継続で適用することになります。
正式名称は「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法等の一部を改正する法律」です。
「平成二十三年度の税制改正に係る所得税法等の一部を改正する法律案の法律としての施行が 平成二十三年四月一日後となる場合に備え、その際の国民生活等の混乱を回避する観点から、 同年三月三十一日に期限の到来する租税特別措置等について、 その期限を暫定的に同年六月三十日まで延長する措置を講ずるため、 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)等の一部改正について定めるものとする。」 となっております。
財務省のホームページ にてご確認ください。
国土交通省が3月17日に公表した平成23年1月1日時点の公示地価は、 全国平均で住宅地は前年比2.7%の下落、商業地は前年比3.8%の下落となり、 3年連続で前年度を下回りました。平成20年秋のリーマン・ショック以降、地価が低迷している状況です。 しかし、三大都市圏、地方圏の下落率(マイナス幅)はすべて前年よりも改善しており、 全国的に下げ止まり感が出ています。 地方圏よりも三大都市圏の下落率が改善されています。 特に東京圏、名古屋圏では、前年の下落率よりも大きな改善が見られます。 東京圏の住宅地では、下落率が前年4.9%から1.7%へ、商業地でも下落率は前年7.3%から2.5%へと改善。 名古屋圏では、住宅地の下落率が前年2.5%から0.6%へ、商業地は下落率が前年6.1%から1.2%へと改善。
大阪圏では、東京圏・名古屋圏ほどの下落率の改善は見られません。 大阪圏の住宅地では、下落率が2.4%(前年は4.8%)、 商業地では、下落率が3.6%(前年は7.4%)。全国平均の下落率ともほとんど変わりません。 大阪府では、オフィス需要がなお減少傾向にあるので、商業地の下落率は4.6%(前年は8.9%)と、 全国平均よりも低い水準。 なお、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響は、 平成23年3月17日に公表された公示地価には織り込まれていません。
国税庁から、ホームページ上に「青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の方」へ、 申告・納付等の期限延長の措置が公表されました。
東北地方太平洋沖地震により多大な被害を受けた地域における申告・納付等の期限の延長措置について(3/14現在)
国税庁は、今般の地震に係る所得税・贈与税の申告・納付の期限の延長措置を、同庁ホームページにおいて公表しています。
<青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の方へ>
東北地方太平洋沖地震により多大な被害を受けた地域における申告・納付等の期限の延長の措置について
(1) 今般の地震の被災状況は、明らかになっていませんが、 今般の地震が所得税・贈与税の申告・納付の期限(3月15日)が 差し迫っている中で発生したことにかんがみ、当面の対応として、多大な被害を受けているとの報道がある以下の地域の 納税者に対して、国税通則法第11条に基づき、国税に関する申告・納付等の期限の延長を行いました。
青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県
(注)対象地域については、今後被災の状況を踏まえて見直していくこととしています。
(2) この地域に納税地を有する納税者につきましては、 東北地方太平洋沖地震がおきた平成23年3月11日以後に到来する申告等の 期限が、全ての税目について、自動的に延長されることとなります。
(3) この他の地域に納税地を有する納税者につきましても、交通途絶等により、 申告等が困難な方につきましては、申告等の期限延長が認められますので、状況が落ち着いた後、 所轄税務署にご相談ください。
(4) なお、申告等の期限をいつまで延長するかについては、 今後、被災者の状況に十分配慮して検討していくこととしています。
国税庁のホームページ にてご確認ください。